(この記事はFediverse Advent Calendar(第三会場)の16日目の記事です。)
はじめまして、二ノ倉ちどりと申します。
早いもので私がfediverse(以下fedi)に来て3年以上経ちました。Mastodonがメディアで大きく取り上げられた2017年4月にmstdn.jpにたどり着き、それから1年もしないうちに小規模インスタンスに移り住み、いちユーザーとしてひっそり暮らしていました。最近はだいたいMisskey自鯖にいます。(2021/2/21追記:閉鎖しました。)
正直これまでfediという大きな視点から物事を考えたことがあまり無く、情報技術に関しても知識が乏しいためこういったアドカレに参加するのにためらいはあったのですが、最近Lemmyというfediサービスを知って使い始めたところ個人的にとても良いと感じたので、少しでも多くの人に知ってもらえたらいいなと思い、自分の知る範囲のみですが記事を書いてみた次第です。
注:2020/12/16時点での情報を元に作成しています。
〜飛ばない目次〜
こちらのページの説明によると、Lemmyは Reddit, Lobste.rsや Hacker Newsに似たリンクアグリゲータということです。
興味のあるコミュニティを購読(フォロー)し、コミュニティにWebページなどへのリンクを投稿したり、関連した話題を投稿したりができて、そういった投稿に対して投票(いいねみたいなもの)やコメントをつけることができます。
Lemmyは特にRedditのクローンという風に言われていますが、Redditは日本語圏ではあまりメジャーではないような気がします。自分もほとんど利用したことがないのですが、イメージしやすい解説漫画があったので参考に貼っておきます。
reddit - the basics(Reddit日本語版初心者wiki&初心者質問スレッドより)
Redditでの"subreddit"がLemmyの「コミュニティ」に相当するものになります。また、「カルマ」のようなシステムはありません。
日本語ユーザーが多く用途が近い(気がする)サイトとしては、5ちゃんねるやはてなブックマーク、スラド等が挙げられるのではないでしょうか。
また、fediネットワークにはLemmy以外にもPrismoというリンクアグリゲータがあります。 公式のプロジェクトは止まってしまっていますが、開発を継続されているサーバー(https://prismo.fedibird.com)がありますのでこちらもチェックされるとよりイメージが掴みやすいかと思います。
DignifiedSilence(@4ioskd@ukadon.shillest.net)さんの
というfediサービス紹介記事を読み、Lemmyの開発チームが建てた旗艦インスタンスであるlemmy.mlを眺めているうちに、これは自分が探していたものでは?と感じました。
lemmy.mlはアクティブなユーザーも多く議論が活発です。自分は英語でのコミュニケーションに自信がないため投稿はせずポチポチ賛成票を入れるなどするのみだったのですが、日本語圏のユーザー向けに建てられたRedmmyというインスタンスの存在を知り、こちらで投稿やコメントをするようになりました。
この記事もLemmyに投稿したものですが、ご覧のとおり相当長い文章を投稿できます。Markdownが使えて簡易なブログのような用途が可能です。
4点目はLemmyのユニークなところで、RedditやPrismoとも違う点かと思います。ユーザーがフォローできるのはコミュニティという《話題》単位であり、ユーザー間で行うものではないというところが特徴的だと思います。
このあたりは個人の好みもあると思います。 元々自分は流れの早いSNSより掲示板ライクなサービスのほうに馴染みがあり、かつ中央集権型でないほうが良いと思っているので、Lemmyは自分に適してそうな感じがします。
Lemmyインスタンス同士で連合できるようになりましたが、他のサービスとの連携はできません。
例えばMastodonからLemmyの投稿へコメントしてスレッドを作ったり(この点Prismoはすでに対応済)、投稿した内容がMastodonのタイムラインに流れたりはしません。また、他サービスのアカウントからメッセージを送ることもできません。
これに関して今後対応したいという開発チームの発言はありますが、開発の状況からすると実装はもっと先になりそうです(他のActivityPub対応ソフトウェアの開発に携わっている人の助けがないと難しいとのこと)。
あとはバグが結構多い気がするのですが、まだ始まったばかりのプロジェクトということもあり仕方ないかなという気がします。
あくまで一例ですが…
現状はユーザーが少ないので集まって議論する場としては少し物足りない部分があるかもしれません。
それでも、1,2点目に挙げたような使い方でおひとりさま鯖として動かすのは現状でもアリな気がしています。私は実際自分の鯖をそのように使っています。
通常コメントするのにユーザー登録が必要ですが、もしおひとりさま鯖同士で連合すれば、他鯖の記事にコメントなどもできるようになって楽しいのではないかなあ…などと想像しています。
また、上述したように他のSNSとの連携が実現すれば、さらに使いやすくなると思います。
何はともあれ実際に使ってみるのが一番だと思いますので、具体的に使い方を書いてみました(把握してる範囲で書いてますのでもし間違ってる部分があったら教えてください。すみません)。
登録
ユーザー名とパスワードを入力するだけです。
メールアドレスなしで登録できます。ただし、その場合はパスワードリセットができません。
プロフィール等の設定
メニューにあるユーザー名表示からプロフィール編集など各種設定ができます。
テーマの変更もここで出来ます。好みのテーマに変えて楽しみましょう。
コミュニティをフォローする
登録後はデフォルトの!main
というコミュニティに登録された状態になっています。
コミュニティの投稿はフォローしなくても誰でも閲覧できますが、フォローするとログイン後のホームに表示されるようになります。
メニューの「コミュニティ」を選択すると一覧できるので、そこから登録/登録解除が可能です。各コミュニティのページにも登録ボタンがあります。
投票する
投稿の横(モバイルだと下)にある上下矢印↑↓を押すと賛成票/反対票を入れることができます。投稿者に通知はなく誰が票を入れたかはわからないようになっています。
票は表示順に影響したりします。
保存
気に入った投稿を保存するには⭐︎を選択します。投稿者に通知されません。
投稿する
「投稿を作成」を選択すると投稿用画面が表示されます。後から編集が可能です。
URL: リンクを投稿する場合に入力します。テキストのみの投稿の場合は入力なしでもOK
タイトル: 必須項目です。URLを入力した場合リンク先タイトルをそのままコピーできます
本文: 一部のMarkdown記法が使えます。慣れないうちはプレビューを使うといいです。ここのように一部のテキストを隠すことができます
コミュニティ: 必須項目。投稿先のコミュニティを選択します(マルチポスト可能ですが作成画面では一つしか選択できない)
閲覧注意: 登録ユーザーのみに閲覧可能にできます
コメントする
コメントしたい元の投稿の下にある入力エリアから投稿します。
誰かのコメントに対してコメントする場合は、返信アイコンを選んで表示された入力エリアから投稿すると、ツリー状にぶら下がって表示されます。
コミュニティをつくる
適した投稿先がないなと思ったらコミュニティを自分で作成できます。作成者はコミュニティのモデレーターになります。
モデレーターは、コミュニティのルールに沿わない投稿を強制削除したり、ユーザーのコミュニティへのアクセスを制限したりすることができます。モデレーションログは公開されます。モデレーター権限はコミュニティの他のユーザーに委譲できます。
気になった方はさっそくお好きなインスタンスに登録してみてくださいね。
やはり最終的に自分のサーバーで動かしてみたいなという気持ちになり、建ててみました。
構築はマニュアルインストールが非推奨になっており、DockerやAnsibleなど、公式のとおりやればとりあえず建てれる方法が用意されています。ただ慣れていないと思わぬところで引っかかるかも(私です)。
もちろん動かすのもタダというわけにはいかないので、やりたいこととコストが見合うかどうかはそれなりに考えないといけないと思いますが、個人的には楽しく使えています。
(MastodonやMisskeyと比べてもメモリ消費少ないので実際そんなにコストはかからないとは思う)
かなり長くなってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。
個人的にはLemmyには多くの可能性を秘めていると感じています。どんなふうにプロジェクトが進むか未知ところはありますが、分散SNSの新しい選択肢のひとつとして立ち位置を確立してほしいなと思います。
Lemmyのソフトウェアとしての話題やLemmyネットワーク全体についての話題などはこちらへどうぞ。
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